卸売業を営む中小事業者向け

卸売業向け生成AI活用ガイドライン

第1.0版 2026年7月
第1章 はじめに(本ガイドラインの目的と使い方)

1-1 本ガイドラインの目的

本ガイドラインは、各事業者の役職員が業務で生成AI(ChatGPT等の対話型AIやAI-OCR等を含む)を利用する際に守るべき基本的なルールと考え方を示すものです。生成AIは業務効率の改善や新しいアイデア出しに役立つ一方、入力するデータや生成物の使い方によっては、情報漏洩・法令違反・他者の権利侵害につながる可能性があります。本書をよく読み、生成AIを安全かつ効果的に活用してください。

1-2 本書の位置づけ(2部構成)

本ガイドラインは、次の2部構成です。用途に応じて必要な部分を参照してください。

区分対象範囲主な内容
統合版全事業者・全部門に共通目的、基本原則、利用ルール、法令順守、人間確認、リスク管理、セキュリティ、教育、導入ステップ
業種別版卸売業に特化業務シーン別規定(需要予測・帳票データ化・チャットボット・配車)、取扱商品別特則(食品・機械部品・衣料品・化学製品・医薬品)
本書が拠り所とする主な公的基準・参考資料

AI推進法(人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律。2025年5月成立・2025年9月施行)

経済産業省・総務省「AI事業者ガイドライン」

経済産業省「AI導入ガイドブック(需要予測・小売/卸売)」、東京商工会議所「中小企業のための生成AI活用入門ガイド」

IPA「テキスト生成AIの導入・運用ガイドライン」、JDLA「生成AIの利用ガイドライン」

1-3 本書の使い方

第2章 AI導入の目的・適用範囲

この章の意義:AI導入で何を目指し、誰に・どの業務に適用するのかを最初に明確にし、以降のルールの前提と範囲を全社で共有します。

2-1 導入の目的

業務効率化・生産性向上:メール作成・資料作成・議事録整理などの定型業務を自動化し、限られた人員でより多くの付加価値業務に時間を割けるようにする。

意思決定の迅速化・高度化:販売実績や気象・イベント等の膨大なデータ分析を活用し、需要予測や営業戦略の精度とスピードを高める。

労働環境の改善:現場の業務負担を軽減し、対人折衝や企画立案などの創造的業務へのシフトを促す。

2-2 適用範囲

本ガイドラインは、以下の「対象者」が「対象ツール」を用いて「対象業務」を行うすべての場面に適用します。

区分内容
対象者役員・正社員に加え、契約社員・パート・派遣社員、および自社データに触れる業務委託先を含む(委託契約に本ガイドライン遵守を明記する)
対象ツール会社が利用を認可した生成AIサービス・機能(法人版を原則とする)。認可外ツールの業務利用は禁止(第4章)
対象業務生成AIにデータを入力し、または生成物を業務に利用するすべての行為(社内利用・対外利用を問わない)

2-3 用語の定義

用語意味
生成AI文章・画像・音声等を生成するAI。対話型AI(ChatGPT等)やAI-OCR等を含む
シャドーAI会社の認可を受けずに、個人アカウント等で業務利用される生成AI
再学習(学習利用)入力したデータがAIサービス提供者のモデル改良に利用されること
ハルシネーションAIが事実と異なる、もっともらしい虚偽の内容を生成する現象
ヒューマン・イン・ザ・ループAIの出力をそのまま使わず、必ず人間が確認・承認する仕組み
第3章 AI活用の基本原則・倫理

この章の意義:個別ルールの土台となる価値観・原則を定め、規定に明記のない場面でも判断の拠り所を持てるようにします。

各事業者は、AI推進法およびAI事業者ガイドラインの趣旨をふまえ、以下の6原則を全社員が共有する行動指針とします。

(1) 人間中心

AIはあくまで人間の判断を補助する道具であり、最終的な判断と責任は人間が負う。人間の尊厳・権利を損なう利用は行わない。

(2) 透明性・説明可能性

AIを用いたことや、その判断根拠を、可能な範囲で説明できるようにする。対外的にAIが応答する場面では、その旨を相手に明示する。

(3) 公正性

AIが特定の属性(性別・国籍・取引先の規模等)に対して不当な不利益や差別的な扱いをしないよう、出力を確認する。

(4) 安全性・セキュリティ

AIシステムや関連データを、サイバー攻撃・不正アクセス・情報漏洩から守る(第8章)。

(5) プライバシー保護

個人情報・プライバシーを適切に取り扱い、本人の権利利益を侵害しない(第5章)。

(6) 説明責任・法令順守

関係法令・契約・社内規程を順守し、問題が生じた場合は誠実に対応する(第5章・第7章)。

第4章 利用ルールと禁止事項(情報漏洩の防止)

この章の意義:最も事故が起きやすい「入力時の情報漏洩」を防ぐため、使ってよいツールや入力してはならない情報を具体的に定めます。

4-1 公式認可ツールのみ利用(シャドーAIの禁止)

4-2 再学習オプトアウト設定の確認義務

利用するAIサービスについて、入力データが再学習に使われない設定(オプトアウト、または学習しない法人プラン)になっているかを、利用開始前に必ず確認する。設定が不明な場合はセキュリティ担当に照会する。

4-3 情報区分に応じた入力制限(3ランク管理)

扱うデータを次の3ランクに分類し、リスクを統制します。入力前に必ず「このデータはどのランクか」を判断してください。

ランク分類具体例生成AIへの入力可否
A極秘未発表の経営戦略、独自アルゴリズム、M&A情報入力禁止
B社外秘取引先の契約内容・仕入原価・顧客リスト学習されない法人版でのみ許可(要マスキング検討)
C公開可公開済みカタログ、プレスリリース著作権に配慮のうえ積極活用
絶対に生成AIへ入力してはならない情報(禁止事項)

① 個人情報(顧客・取引先担当者の氏名・住所・連絡先等)※原則入力禁止

② 他社からNDA(秘密保持契約)で受領した秘密情報

③ 自社の未公開の機密・ノウハウ・技術情報(ランクA)

④ 既存著作物・作家名を入力し、類似物の生成を目的とする行為

⑤ 会社が認可していないツール・端末からの入力

4-4 メモリ機能の定期管理

対話型AIには、過去のやり取りやユーザーの情報を記憶し、以降の応答に反映する「メモリ機能」があります。便利な一方、入力した機密情報・個人情報が本人の意図しない形でメモリに蓄積され、後の出力や共用環境を通じて漏洩するリスクがあるため、次のとおり管理します。

(1) 基本ルール

(2) 定期的な棚卸し(確認・削除)

第5章 法令順守(知的財産権・機密情報・個人情報の保護)

この章の意義:AIの利用が著作権・個人情報・秘密保持など既存の法令に触れうるため、遵守すべき法的な留意点を整理します。

生成AIは「データを入力する場面」と「生成物を利用する場面」の2つで法的リスクが生じます。それぞれで注意すべき事項を示します。

5-1 データ入力時の注意

(1) 著作権(既存著作物)

(2) 商標・意匠(ロゴ・デザイン)

登録商標・意匠の入力自体は権利侵害に当たらないが、生成物を商用利用する場合は、同一・類似の登録商標・意匠がないか調査が必要(詳細は5-2)。

(3) 個人情報

越境移転への注意:海外サーバーで処理・保存されるサービスに個人データを提供する場合、個人情報保護法28条(外国にある第三者への提供)の要件(本人同意、または提供先の基準適合体制の確認等)に留意する。

(4) 秘密保持義務のある情報(NDA)

他社とのNDAで受領した秘密情報を外部の生成AIに入力する行為は、AI提供者という「第三者」への開示に当たり、NDA違反となりうる。取引先から預かった機密情報は、再学習されない安全な環境でのみ取り扱う。

(5) 自社の機密情報

自社のノウハウ等を入力すると、サービスの規約次第で法律上の保護(営業秘密)を失ったり、特許出願ができなくなるリスクがあるため入力しない。

5-2 生成物利用時の注意

生成物の権利クリアランス手順(商用利用時)

① 生成物が既存著作物に類似しないか調査する

② ロゴ・キャッチコピー等は登録商標・意匠の調査を行う

③ 人間による加筆・修正を加え、創作的寄与を確保する

④ 判断が難しい場合は法務・相談窓口に照会する

第6章 人間による最終確認(ヒューマン・イン・ザ・ループ)

この章の意義:AIの出力には誤り(ハルシネーション)が含まれうるため、人間が必ず確認し最終責任を負う仕組みを定めます。

AIが生成した内容をそのまま使わず、必ず人間が介入する仕組みを全業務で徹底します。

6-1 ファクトチェック(ハルシネーション対策)

6-2 AIエージェントの外部操作時の最終承認

AIがメール送信・発注・対外回答など外部に影響する操作を行う場合、実行前に人間による最終承認を必須とします。

工程担当確認内容
① AIによる素案作成AIたたき台の生成
② 真実性の確認人間事実・数値のファクトチェック
③ 権利・倫理の確認人間権利侵害・不適切表現の有無
④ 最終承認と送信人間(責任者)内容確定・実行の承認
第7章 法的リスク管理とインシデント対応

この章の意義:問題が起きた際の責任の所在と対応手順をあらかじめ決めておくことで、被害の拡大を防ぎ迅速に対処します。

7-1 責任の所在の明確化

7-2 インシデント対応フロー

情報漏洩・権利侵害・重大な誤情報の発信等(インシデント)が疑われる場合、次のフローで対応します。

  1. 検知 発見・停止:異常を認めた者は直ちに当該利用を停止し、証拠(画面・ログ)を保全する。

  2. 報告 報告:速やかに相談窓口・上長へ報告する(第一報は事実確認より優先)。

  3. 対応 初動対応:影響範囲の特定、拡大防止、必要に応じ関係取引先・監督官庁への連絡を検討する。

  4. 改善 再発防止:原因分析を行い、ルール・教育・技術対策を見直す。

7-3 相談窓口(コンシェルジュ)

AI利用に関する疑問・判断相談・インシデント報告を一元的に受け付ける窓口を設置します。違反時の対応フローもここに集約します。

項目記載欄(各社で設定)
相談窓口部署(例)情報システム部/DX推進担当
連絡先(メール・内線)
受付内容利用相談・ツール申請・インシデント報告
第8章 セキュリティ(安全管理措置)

この章の意義:情報資産をサイバー攻撃・不正アクセス・漏洩から守るため、組織・人・物理・技術の各面から管理措置を定めます。

個人情報保護法が求める4つの安全管理措置の枠組みで、AI利用時の対策を整理します。

8-1 組織的安全管理措置

8-2 人的安全管理措置

8-3 物理的安全管理措置

8-4 技術的安全管理措置

第9章 教育とAI活用リテラシー

この章の意義:ルールを実効的に機能させるには、全社員が背景と使い方を理解している必要があるため、継続的な教育を行います。

9-1 教育の考え方

AIを安全に使いこなすには、ツールの操作方法だけでなく、リスクを見抜くリテラシーが不可欠です。全社員を対象に、役割に応じた継続的な教育を行います。

9-2 対象別の教育内容

対象重点テーマ
全社員(基礎)本ガイドラインの理解、情報区分、禁止事項、ハルシネーション、シャドーAI禁止
管理職・承認者最終承認の責任、リスク判断、インシデント対応
推進・IT担当ツール選定・設定(オプトアウト)、ログ監視、教育企画

9-3 運用

第10章 導入ステップと全社共通チェックリスト

この章の意義:以上の考え方を実際の導入・運用に移すための手順と、導入前に確認すべき項目を示します。

10-1 導入5ステップ

  1. STEP1 企画(方針策定):導入目的・適用範囲・体制を決め、本ガイドラインを整備する。

  2. STEP2 ツール選定:法人版・オプトアウト・セキュリティ・説明可能性を評価し、認可ツールを決める。

  3. STEP3 環境整備:権限・ログ・認証を設定し、利用申請フローと相談窓口を用意する。

  4. STEP4 教育・試行:研修を実施し、小さな業務で試行(PoC)して効果とリスクを検証する。

  5. STEP5 展開・改善:対象業務を拡大し、精度・運用を定期的に見直す。

10-2 全社共通チェックリスト(導入前の最終確認)

附録 様式ひな形

様式1 情報区分表(記入例)

ランク定義自社での該当情報(記入)AI入力
A 極秘漏洩で経営に重大影響(例)M&A・新規事業計画禁止
B 社外秘取引・顧客に関する非公開情報(例)仕入原価・顧客リスト法人版のみ可
C 公開可既に公開済みの情報(例)Web掲載カタログ活用可

様式2 生成AI利用申請書(項目例)

申請者・所属:
利用したいAIツール名/プラン(法人版か):
利用目的・対象業務:
入力するデータの情報区分(A/B/C):
再学習オプトアウト設定の有無:
承認者(上長・IT担当):
第1章 本書の位置づけと卸売業におけるAI活用の全体像

1-1 本書の位置づけ

全事業者共通の原則を定めた「統合版」に加え、卸売業に特有の業務・取扱商品ごとの追加ルール(特則)を定めます。統合版の第2〜10章(目的、基本原則、利用ルール、法令順守、人間確認、リスク管理、セキュリティ、教育、導入ステップ)を前提とし、これに上乗せする形で適用されます。両者に矛盾がある場合は、より厳しい方を採用してください。

1-2 卸売業がAIを扱ううえでの特性

1-3 卸売業における主なAI活用シーン

活用シーン主な効果本書での規定
AI需要予測(気象・イベント・季節需要の分析)欠品・過剰在庫の削減2-1
帳票(発注書・請求書・カタログ)のデータ化入力業務の自動化2-2
在庫確認・納期回答チャットボット問い合わせ対応の省力化2-3
輸配送ルート・配車の最適化物流2024年問題への対応2-4
貿易書類・報告書・見積書の作成支援書類作成の効率化統合版+2-2
第2章 業務シーン別の規定(AIの用途別)

2-1 需要予測・自動発注(発注量の最適化)

気象データや地域イベント、季節要因等を掛け合わせた「AI需要予測」を業務に組み込む場合、情報の取り扱いや自動化のリスクを統制するため、以下を規定します。

(1) 入力データに関する規定(情報セキュリティ)

(2) 予測結果の取り扱い(人間の介在・ファクトチェック)

(3) 自動発注システムとの連携(フェイルセーフ)

(4) モデルの定期評価と(5) 取引先への透明性

条文例

AIが算出した需要予測・発注量は意思決定の支援情報であり、最終決定と責任は担当者が負う。自動発注システムに連携する場合は前年同週比等の上限・下限を設定し、閾値超過時は自動処理を停止して管理者の承認を得る。

2-2 帳票のデータ化・自動処理(AI-OCRとCSV生成)

商品カタログや手書き帳票(発注書・注文書・請求書)をAI-OCRや生成AIでデータ化する業務は効率化メリットが大きい一方、読み取り精度の限界や個人情報・機密情報の漏洩リスクを伴います。

(1) AI-OCRと生成AIの併用ルール(原本突合)

手書き読み取り(AI-OCR)と、データ補正・抽出(生成AI)の役割分担と責任を明確にし、原本突合(ファクトチェック)を義務付けます。

条文例

AI-OCRおよび生成AIで非定型帳票(発注書・請求書等)からデータを抽出し販売管理システムへ取り込む(CSV連携等)場合、AIの読み取り精度は完全ではないことを前提とする。担当者はシステム登録前に、必ず元の帳票(原本・画像)と抽出データを目視で突き合わせ、正確性を確認しなければならない。

(2) 機密情報・エラー前提・原本保管

2-3 在庫・納期回答の自動化(対外チャットボット)

在庫(ロット・賞味期限等)管理や取引先への納期回答をAIで自動化する場合、誤情報提供による機会損失・トラブルや「言った言わない」の責任問題を防ぐルールが必要です。チャットボットの回答は「会社の公式回答」とみなされるため、慎重な規定を要します。

条文例

AIチャットボットで在庫状況・納期の一次回答を行う場合、応答主体がAIであること、回答が「参考情報(確約ではない)」であることを明示する。複雑な問い合わせやクレームの兆候を検知した場合は、速やかに人間の担当者へ対応を引き継ぐ機能を設ける。

2-4 輸配送ルートの最適化(配車計画)

自社配送や提携運送会社との連携による輸配送ルートの最適化は、物流の「2024年問題(ドライバーの時間外労働の上限規制)」への重要な打ち手です。ただし、AIが算出した「最も効率的なルート」が、現場にとって安全・最適とは限らないという特有のリスクがあります。

第3章 取扱商品別の特則(商材別の致命的リスク管理)

同じ卸売業でも、取扱商品によってAI活用時の「致命的リスク」は大きく異なります。本章は分野ごとに、統合版・第2章に上乗せする特則を定めます。自社が扱う商材の項を必ず確認してください。

取扱商品別の活用シーンと留意点

分野ごとの代表的な活用シーンです。禁止・義務などの遵守事項は社内規程 別表第2(本タブ3-1以降の特則)を参照してください。

分野代表的な活用シーン・事例主な留意点(詳細は社内規程 別表第2)
① 食品・農水産物気象・イベント・曜日を加味した発注量最適化(廃棄ロス削減)、手書き規格書のデータ化産地・期限・アレルギー表示はAI自動生成禁止/期限リミッター
② 機械・機械部品類似部品の候補提示、在庫・納期の一次回答、仕様書・マニュアルの要約代替品の適合性は技術者が公式仕様書で確認/稼働・安全を確約しない
③ 衣料品・アパレルSNS・気象・実績によるSKU/週単位の需要予測、在庫偏在の解消、ECカタログ下書き品質表示のAI自動生成禁止/優良誤認・知財侵害を人間が確認
④ 化学製品・危険物SDS・輸出入書類の翻訳・作成補助、禁忌条件を組み込んだ在庫・配車最適化成分・法令の出力は有資格者が確認/混載禁忌は絶対条件
⑤ 医薬品欠品防止・過剰在庫抑制の需要予測、GS1バーコード照合、温度異常検知アラートGDP手順を優先/期限・回収品は出荷自動停止/薬事が最終判断

3-1 食品・農水産物等(生鮮・加工食品)

【致命的リスク】食中毒・産地偽装・食品ロス(廃棄)

天候やトレンドで需要が急変し、かつ「腐る」という時間的制約があるため、AIの暴走が直接、廃棄ロスや消費者の健康被害に直結する。

特則(規定すべき事項)

条文例

食品の商品情報(産地・消費期限・アレルギー物質)は、AIによる推測・自動補完を禁止し、必ず一次情報(メーカー仕様書・規格書)に基づき人間が確認・入力する。

主な活用シーンと留意点

分野別チェックリスト

3-2 機械・機械部品・資材

【致命的リスク】互換性エラーによる顧客工場の停止・重大事故

単価が高く、BtoBでの長期的な保守・メンテナンスが前提。代替品の誤った提案が、顧客の生産ラインを停止させる致命的トラブルを生む。

特則(規定すべき事項)

条文例

見積・提案AIが代替品や互換部品を提示した場合、その互換性・安全基準適合性は、技術的知見を持つ担当者がメーカー公式仕様書と照合して最終判断する。AIによる稼働率・安全性の評価を取引先へ確約として提示してはならない。

主な活用シーンと留意点

分野別チェックリスト

3-3 衣料品・アパレル

【主なリスク】ブランド毀損・優良誤認表示・知的財産権侵害・過剰在庫

トレンドで需要が急変し、季節・サイズごとに在庫が偏りやすい。AIによる画像生成やコピー作成では、他社デザイン・商標の模倣や、品質・表示の誤りがブランド毀損や法令違反に直結する。

特則(規定すべき事項)

条文例

衣料品の品質表示(組成・原産国・洗濯表示)はAIに自動生成させず、一次情報に基づき人間が確認する。AI生成の商品画像・ロゴ・販促コピーは、既存の登録商標・意匠・著作物への類似および優良誤認表示がないかを人間が確認したうえで使用する。

主な活用シーンと留意点

分野別チェックリスト

3-4 化学製品・危険物

【致命的リスク】法令違反(消防法・毒劇法等)・火災や爆発事故

消防法(危険物)、毒物及び劇物取締法など、取り扱いに厳密な法規制が絡む。AIが「効率」だけを求めて配車や倉庫保管を最適化すると、大事故や法令違反につながる危険がある。

特則(規定すべき事項)

条文例

SDSや輸出入書類の作成をAIに補助させる場合、含有成分・適用法令に関する出力は有資格者が確認・承認する。倉庫ロケーションや配車をAIで最適化する場合、混載・同時保管の禁忌など化学的特性に基づく危険回避ルールを最上位の絶対条件として設定し、逸脱を禁じる。

主な活用シーンと留意点

分野別チェックリスト

3-5 医薬品

【致命的リスク】薬機法違反・偽造医薬品の流通・品質劣化(温度逸脱)・健康被害

薬機法(医薬品医療機器等法)や医薬品の適正流通基準(GDP)が厳格に適用される。AIによる誤った情報提供・在庫引当・温度管理の判断は、患者の健康被害や重大な法令違反に直結する。

特則(規定すべき事項)

条文例

医薬品の在庫引当・出荷可否は、使用期限・ロット・回収情報をふまえ薬事/品質担当が最終判断する。AIによる効率化提案がGDP(温度管理・トレーサビリティ・偽造品対策)の基準を緩めてはならず、期限切迫品・回収対象品の出荷はシステムで自動的に停止する。

主な活用シーンと留意点

分野別チェックリスト

第4章 業種別 導入ステップとチェックリスト

4-1 卸売業でのAI導入ステップ

  1. STEP1 業務の棚卸し:需要予測・帳票処理・チャットボット・配車など、自社で効果の大きいシーンを特定する。

  2. STEP2 商材リスクの確認:自社の取扱商品(第3章)の致命的リスクと必須の特則を洗い出す。

  3. STEP3 小さく試行:1業務・1商材でPoC(試行)を行い、精度・リスク・現場の使い勝手を検証する。

  4. STEP4 安全装置の実装:リミッター・アラート・原本突合・エスカレーション等のフェイルセーフを組み込む。

  5. STEP5 展開と定期見直し:対象を広げ、予測精度・ルールを定期的に見直す。

4-2 業種横断チェックリスト(卸売業共通)

本規程の位置づけ

本規程は、卸売業を営む中小事業者が、生成AIを業務で安全かつ適正に利用するために、社内規程として整備することを想定したひな型です。役職員が遵守すべき拘束力のあるルールを条文形式で定めます。

AI導入の目的・進め方・活用事例・チェックリスト等(拘束力を伴わない手引き)は、本規程とは別に整理しています。

使い方(各社でのカスタマイズ)

【 】や「(例)」の箇所は、自社の実態(部署名・窓口・数値等)に合わせて記入してください。

自社が取り扱う商品分野に応じ、別表第2の該当分野を適用してください。

法令(AI事業者ガイドライン等)は改正される場合があるため、定期的に見直してください(要確認)。

第1章 総則
第1条(目的)

本規程は、当社の役職員等が業務において生成AIを利用するにあたり遵守すべき事項を定め、情報漏洩、法令違反及び第三者の権利侵害を防止するとともに、生成AIの適正かつ有効な活用を図ることを目的とする。

第2条(適用範囲)

1本規程は、次に掲げる者が、当社が利用を認めた生成AIを用いて、データの入力又は生成物の利用を行うすべての業務に適用する。

  • (1) 役員、正社員、契約社員、パートタイム従業員及び派遣社員
  • (2) 自社のデータに接する業務委託先(委託契約において本規程の遵守を明記する)

2社内利用・対外利用の別を問わず、生成AIに関する一切の業務に本規程を適用する。

第3条(定義)

本規程において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

  • (1) 生成AI 文章・画像・音声等を生成する人工知能をいい、対話型AI(ChatGPT等)及びAI-OCR等を含む。
  • (2) シャドーAI 会社の認可を受けずに、個人アカウント等で業務利用される生成AIをいう。
  • (3) 再学習 入力したデータが、生成AIの提供者のモデル改良のために利用されることをいう。
  • (4) ハルシネーション 生成AIが、事実と異なるもっともらしい虚偽の内容を生成する現象をいう。
  • (5) 最終確認 生成AIの出力をそのまま用いず、人間が内容を確認し承認する行為をいう。
第4条(基本原則)

役職員等は、生成AIの利用にあたり、次の各号に掲げる原則を遵守しなければならない。

  • (1) 人間中心 生成AIは人間の判断を補助する道具であり、最終的な判断及び責任は人間が負う。
  • (2) 透明性・説明可能性 AIを用いた事実及びその判断根拠を、可能な範囲で説明できるようにする。
  • (3) 公正性 特定の属性に対する不当な不利益又は差別的取扱いを行わない。
  • (4) 安全性・セキュリティ AI及び関連データを、サイバー攻撃、不正アクセス及び情報漏洩から保護する。
  • (5) プライバシー保護 個人情報及びプライバシーを適切に取り扱う。
  • (6) 説明責任・法令順守 関係法令、契約及び社内規程を遵守し、問題が生じた場合は誠実に対応する。
第2章 利用ルール
第5条(認可ツールの利用及びシャドーAIの禁止)

1役職員等は、会社がセキュリティ及びプライバシーの基準を確認して認可した生成AIのサービス及び機能のみを利用しなければならない。安全性が担保された法人向けサービスを中心に利用するものとする。

2個人アカウントによる業務利用(シャドーAI)は、これを禁止する。

3新たな生成AIを業務に利用しようとする場合は、あらかじめ利用申請を行い、情報システム担当【 】の承認を得なければならない。

第6条(再学習オプトアウト設定の確認義務)

役職員等は、利用する生成AIについて、入力データが再学習に利用されない設定(オプトアウト又は学習しない法人向けプラン)となっていることを、利用開始前に確認しなければならない。設定が不明な場合は、情報システム担当【 】に照会するものとする。

第7条(情報区分に応じた入力制限)

1役職員等は、取り扱うデータを別表第1に定める区分に分類し、当該区分に応じた入力の可否に従わなければならない。

2ランクA(極秘)に該当する情報は、生成AIに入力してはならない。

3ランクB(社外秘)に該当する情報は、再学習されない法人向けサービスに限り、必要に応じ匿名化又はマスキングを行ったうえで入力することができる。

第8条(メモリ機能の管理)

1役職員等は、生成AIの記憶機能(過去の入力等を記憶し応答に反映する機能。以下「メモリ機能」という。)について、業務利用では原則としてこれを無効にしなければならない。利用する場合は、法人向けサービスの管理下で会社が認めた範囲に限る。

2ランクA、ランクB及び個人情報は、メモリ機能に記憶させてはならない。

3会社は、四半期に1回等定期的にメモリ機能の内容を確認し不要な情報を削除するとともに、退職者・異動者のアカウント及び共用端末のメモリを速やかに消去する。

第9条(禁止事項)

役職員等は、生成AIの利用にあたり、次の各号に掲げる行為を行ってはならない。

  • (1) 個人情報(顧客又は取引先担当者の氏名・住所・連絡先等)を入力すること。
  • (2) 他社との秘密保持契約(NDA)により受領した秘密情報を入力すること。
  • (3) 自社の未公開の機密情報、ノウハウ又は技術情報を入力すること。
  • (4) 既存の著作物又は作家名を入力し、これと同一又は類似の生成物を得ることを目的とすること。
  • (5) 会社が認可していないツール又は端末から生成AIを利用すること。
第3章 法令の遵守
第10条(知的財産権の保護)

1役職員等は、生成AIへの入力及び生成物の利用にあたり、第三者の著作権、商標権及び意匠権を侵害してはならない。

2特定の作者又は作品のみを学習させた特化型AIを利用してはならず、プロンプトに既存の著作物、作家名又は作品名を入力してはならない。

3生成物を商用利用する場合は、既存の著作物、登録商標及び登録意匠と同一又は類似でないことを、公開又は利用の前に調査しなければならない。

第11条(個人情報の保護)

1役職員等は、個人情報を生成AIに入力してはならない。ただし、本人の同意その他個人情報の保護に関する法律上の要件を満たす場合は、この限りでない。

2海外のサーバーで処理又は保存される生成AIに個人データを提供する場合は、個人情報の保護に関する法律第28条(外国にある第三者への提供)の要件に留意しなければならない。

第12条(秘密保持義務)

役職員等は、他社との秘密保持契約により受領した秘密情報を、外部の生成AIに入力してはならない。取引先から預かった機密情報は、再学習されない安全な環境においてのみ取り扱うものとする。

第13条(自社機密情報の取扱い)

役職員等は、自社のノウハウ等の機密情報を生成AIに入力してはならない。当該入力により、法律上の保護(営業秘密)を失い、又は特許出願ができなくなるおそれがあるためである。

第4章 人間による最終確認
第14条(生成物の確認義務(ファクトチェック))

1役職員等は、生成AIの出力をそのまま利用してはならず、数値、固有名詞、法令及び引用について、一次情報(公式資料又は原本)と突き合わせて確認しなければならない。

2確認できない情報は使用せず、不確実な事項は「要確認」と明記して次の工程に引き継ぐものとする。

第15条(外部操作時の最終承認)

生成AIがメールの送信、発注、対外的な回答その他外部に影響を及ぼす操作を行う場合は、実行の前に、権限を有する者による最終承認を必須とする。

第5章 セキュリティ(安全管理措置)
第16条(安全管理措置)

会社は、生成AIの利用に関し、次の各号に掲げる安全管理措置を講じなければならない。

  • (1) 組織的措置 組織体制及び責任分担を明確化し、利用ルールを明文化するとともに、利用記録(ログ)を自動取得し一定期間保管する。
  • (2) 人的措置 利用者から誓約書を取得し、定期的な研修及び教育を実施する。
  • (3) 物理的措置 利用エリア及び業務用端末を管理し、私物端末による利用を制限する。
  • (4) 技術的措置 認可したサービス・機能のみの利用制限、アクセス権限の管理、多要素認証の導入、入力してはならない情報の自動検知・遮断(DLP等)の検討を行う。
第6章 リスク管理及びインシデント対応
第17条(責任の所在)

1生成AIの出力に基づく最終判断の責任は、利用者及びその承認者が負う。

2生成AIの誤作動により第三者に損害が生じた場合の民事上の責任の所在については、あらかじめ提供事業者との契約において明確化するものとする。

第18条(インシデント対応)

1役職員等は、情報漏洩、権利侵害又は重大な誤情報の発信等(以下「インシデント」という。)を認め、又はそのおそれを認めたときは、直ちに当該利用を停止し、証拠を保全のうえ、相談窓口又は上長に報告しなければならない。

2会社は、報告を受けたときは、影響範囲の特定及び拡大防止の措置を講じ、必要に応じ関係取引先及び監督官庁への連絡を検討するとともに、原因分析及び再発防止を行う。

第19条(相談窓口)

会社は、生成AIの利用に関する相談、判断の照会及びインシデントの報告を一元的に受け付ける相談窓口【(例)情報システム部/DX推進担当】を設置する。

第7章 取扱商品別の特則
第20条(取扱商品別の特則)

1役職員等は、当社が取り扱う商品分野に応じ、別表第2に定める取扱商品別の特則を遵守しなければならない。当該特則は、本規程の他の条項に優先して、又はこれに加えて適用する。

2複数の分野に該当する場合は、そのすべての特則を適用する。当該特則と他の条項とが抵触する場合は、より厳格な取扱いによるものとする。

第8章 教育
第21条(教育及び研修)

1会社は、役職員等に対し、本規程の内容、情報区分、禁止事項、ハルシネーション及びシャドーAIの禁止等について、入社時及び年1回以上、定期的に教育及び研修を実施する。

2管理職及び承認者に対しては、最終承認の責任、リスク判断及びインシデント対応に関する教育を行う。

第9章 雑則
第22条(違反に対する措置)

本規程に違反した役職員等に対しては、就業規則その他社内規程の定めるところにより、必要な措置を講ずることがある。

第23条(規程の改廃)

1本規程の改廃は、【 (例)取締役会 】の決議による。

2法令の制定・改正、技術の進展その他事情の変化に応じ、会社は本規程を適時に見直すものとする。

附 則

本規程は、【  年 月 日 】から施行する。

別表第1 情報区分表(第7条関係)

ランク分類具体例生成AIへの入力可否
A極秘未発表の経営戦略、独自アルゴリズム、M&A情報入力禁止
B社外秘取引先の契約内容・仕入原価・顧客リスト学習されない法人版でのみ許可(要マスキング検討)
C公開可公開済みカタログ、プレスリリース著作権に配慮のうえ活用可

別表第2 取扱商品別の特則(第20条関係)

当社が取り扱う商品分野に応じて、次の特則(禁止・義務事項)を遵守する。

分野主なリスク遵守すべき特則(禁止・義務事項)
① 食品・農水産物食中毒・産地偽装・食品ロス産地・消費期限・アレルギー物質をAIに推測・自動入力させない/商慣習(1/3ルール等)や指定残存期限を無視したロット引当をシステムで弾く/生鮮品の自動発注上限は保守的に設定する。
② 機械・機械部品互換性エラーによる顧客工場の停止代替品・互換部品の適合性は有資格・技術者がメーカー公式仕様書と照合して最終判断する/稼働率・安全性の評価を取引先へ確約として提示しない/型番・数量のAI読取りは発注前に原本突合する。
③ 衣料品・アパレルブランド毀損・優良誤認・知財侵害組成・原産国・洗濯表示をAIに自動生成させない(家庭用品品質表示法)/販促コピーの優良誤認(景品表示法)を人間が確認する/AI生成画像・ロゴ・柄が既存商標・意匠・著作物に類似しないか調査する/モデル・顧客画像は本人同意なく用いない。
④ 化学製品・危険物法令違反(消防法・毒劇法)・火災爆発SDS・輸出入書類の成分・適用法令に関するAI出力は有資格者が確認・承認する/混載・同時保管の禁忌等の危険回避ルールをAIの最上位の絶対条件として設定し逸脱させない/危険物の指定数量・区分をAI任せにしない。
⑤ 医薬品薬機法違反・偽造品流通・品質劣化温度管理・トレーサビリティ・偽造品対策のGDP手順をAIの効率化提案より優先する/使用期限・回収対象品の出荷をシステムで自動停止する/在庫引当・出荷可否は薬事・品質担当が最終判断する/効能・用法の情報発信は薬事が確認する(薬機法)。
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各ステップのチェックを進めると全体の達成度が表示されます。
STEP 1
業務の棚卸し(企画)
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STEP 2
ツール選定と規程整備
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STEP 3
環境整備
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STEP 4
小さく試行(PoC)
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STEP 5
展開と定期見直し
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STEP 1

業務の棚卸し(企画)

何に使うか決める
目的:自社で効果の大きい業務を見極め、AI導入の狙いと体制を定める。

やること

  • 需要予測・帳票処理・チャットボット・配車など、候補となる業務シーンを洗い出す
  • 各シーンの効果とリスクを見立てる
  • 推進担当・相談窓口を仮決めする

用意するもの・成果物

  • AI導入の目的・適用範囲の素案
  • 推進担当(旗振り役)
チェックリスト
  • AI導入の目的と適用範囲(対象者・ツール・業務)を明文化したか
  • 効果の大きいシーンを特定したか
  • 推進担当・相談窓口を仮決めしたか
関連する社内規程・資料:統合版 第2章(目的・適用範囲)/ 社内規程 第1条・第2条
2
STEP 2

ツール選定と規程整備

安全なツールとルール
目的:安全に使えるツールを選び、守るべきルール(社内規程)を自社仕様に整える。

やること

  • 法人版・オプトアウト・セキュリティ・説明可能性を評価して認可ツールを決める
  • 社内規程ひな型をカスタマイズ(窓口名・数値・施行日を記入)
  • 取扱商品に応じて別表第2を適用する

用意するもの・成果物

  • 認可ツール一覧
  • 社内規程(カスタマイズ済み)
  • 情報区分表(別表1)
チェックリスト
  • 法人版で選定し再学習オプトアウトを確認したか
  • 情報区分(A/B/C)と入力制限を定めたか
  • 取扱商品の特則(別表2)を設定したか
  • 禁止事項を明確化したか
関連する社内規程・資料:統合版 第4章・第5章 / 社内規程 第5〜9条・第20条・別表1・別表2
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STEP 3

環境整備

環境と運用フロー
目的:安全に使える技術環境と、申請・相談の運用フローを用意する。

やること

  • 権限・ログ・多要素認証を設定する
  • 利用申請フローと相談窓口を設置する
  • メモリ機能を原則オフに初期設定する

用意するもの・成果物

  • 生成AI利用申請書(参考様式)
  • 相談窓口
  • ログ・権限・認証設定
チェックリスト
  • 権限管理・ログ取得・多要素認証を設定したか
  • 利用申請フローを用意したか
  • 相談窓口を設置・周知したか
  • メモリ機能を原則オフに設定したか
関連する社内規程・資料:統合版 第7章・第8章 / 社内規程 第6条・第8条・第16条・第19条
4
STEP 4

小さく試行(PoC)

1業務で試す
目的:1業務・1商材で試し、精度・リスク・現場の使い勝手を確かめる。

やること

  • 対象業務を1つ選び試行する
  • 人間の最終確認・原本突合を運用に組み込む
  • 効果とリスクを記録し評価する

用意するもの・成果物

  • 試行対象(1業務)
  • 最終確認フロー
  • 効果・リスクの評価記録
チェックリスト
  • 人間による最終確認(ファクトチェック・最終承認)を組み込んだか
  • AI-OCR等で原本突合を義務化したか
  • 効果とリスクを記録・評価したか
関連する社内規程・資料:統合版 第6章 / 業種別版 第2章(業務シーン別規定)/ 社内規程 第14条・第15条
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STEP 5

展開と定期見直し

広げて改善
目的:対象を広げ、安全装置を組み込み、教育と見直しを継続する。

やること

  • 対象業務を段階的に拡大する
  • リミッター・アラート・エスカレーションを実装する
  • 定期研修を実施し、精度・ルールを定期的に見直す

用意するもの・成果物

  • 安全装置の設定
  • 教育計画
  • 定期見直しサイクル
チェックリスト
  • 需要予測・自動発注にリミッターと異常値アラートを設定したか
  • 対外チャットボットで免責明示とエスカレーションを実装したか
  • 定期研修・誓約書取得の体制を整えたか
  • 精度・運用を定期的に見直す仕組みか
関連する社内規程・資料:統合版 第9章・第10章 / 業種別版 第3章(取扱商品別の特則)/ 社内規程 第18条・第21条・別表2

業務シーン別の活用ポイント

需要予測・自動発注

狙い:気象・イベント・季節要因で発注量を最適化し欠品と過剰在庫を減らす。

要点:公式データ利用/自動発注にリミッター/最終判断は人間(規程第14条)

帳票のデータ化・書類作成

狙い:発注書・請求書・カタログをAI-OCRでデータ化、見積・貿易書類を効率化。

要点:原本突合を義務化/原本を保管(規程第14条)

在庫・納期チャットボット

狙い:在庫確認・納期回答の一次対応を自動化し省力化。

要点:参考情報と明示/複雑な件は人間へ引き継ぐ(規程第15条)

輸配送ルート・配車最適化

狙い:渋滞・天候を加味し物流2024年問題に対応。

要点:安全・法令順守を優先/裁量を保証/休憩・連続運転を組み込む

取扱商品別の要注意ポイント

リスク:食中毒・産地偽装・食品ロス

① 食品・農水産物

産地・期限・アレルギー表示のAI自動生成を禁止/期限・商慣習のリミッター

リスク:互換性エラーで顧客工場停止

② 機械・機械部品

代替品の適合性は技術者が公式仕様書で確認/稼働・安全を確約しない

リスク:ブランド毀損・優良誤認・知財侵害

③ 衣料品・アパレル

品質表示のAI自動生成を禁止/優良誤認・商標意匠の類似を人間が確認

リスク:消防法・毒劇法違反・火災爆発

④ 化学製品・危険物

成分・法令のAI出力は有資格者が確認/混載禁忌をAIの絶対条件に設定

リスク:薬機法違反・偽造品・品質劣化

⑤ 医薬品

GDP手順を優先/期限切迫・回収品は出荷自動停止/薬事が最終判断

教育とリテラシー育成

対象重点テーマ
全社員(基礎)社内規程の理解、情報区分、禁止事項、ハルシネーション、シャドーAI禁止
管理職・承認者最終承認の責任、リスク判断、インシデント対応
推進・IT担当ツール選定・設定(オプトアウト)、ログ監視、教育企画
チェックの状態は画面内でのみ保持され、保存はされません(閉じるとリセットされます)。